ども、ホルスタインおじさんです。
ブログチャレンジ初級をクリアするため、初のお題スロットを廻してみました。
お題「フェス」です。
おじさんの若かりし頃のフェスは、今みたいにフェスが乱立する少し前で、『趣味はフェスに行く事です』と言えば、よくわからない人から言わせると『なんか危ないイベントじゃないか』と思われる、一般的には一切馴染みの無いものでありました。
しかし私は子供の生まれる時まで、まるでそこが人生最大の楽しみの場だと思いなが、フェスに通いつめました。
今回は一番印象深い初めて参加したフェスの時の事について書きたいと思います。
おじさん自身もフェスとは何にも知らない頃の話ですので、生暖かい目で読んでください。
私が始めて行ったフェスは2003年のフジロックフェスティバルでした。
洋楽を一切聞かない私が、洋楽フェスの代名詞であるフジロックに行く事になったのは、当時の後輩であるアホイ君(仮)の『フジロック行くとモテますよ。』の一言である。
3日間の通し券が3万8千円の高額チケット代に、やっすい日本語パンクのライブばかり行ってた私にとっては勇気のいる値段でした。しかし、私は迷った素振りを見せつつも、心の中では『女の子と仲良くなれるかもしれない』という男子特有の何の根拠もない幻想が止まりませんでた。
『モテたい』の一心に、初めてのフジロックに参戦したのは言うまでも無い事です。ええ、若い頃の男子の頭の中なんて中学生の頃から一切進歩してないんだなと、妻子がいて落ち着い身になった今だからこそハッキリ言えます。ええ今は落ち着いていますよ。ホントに。
後輩に、チケット手配からキャンプ道具の準備までの全てを任せ、自前の車に寝袋と着替えを詰め込み、ロングドライブでたどり着いた先はフジロックの会場である苗場スキー場。
小雨の振る中、今ではネットの売買でプレミア価格の付く場内駐車場(※1)に降り立った我々3人の目の前に広がるのは、ゴルフ場斜面に乱立する色とりどりのテントサイトであった。
(※1)アホイ(仮)は駐車場チケットの一部を持ってくるのを忘れ、関係者との調整に1時間かけたのは今となっては笑い話。
斜面にテントとはキャンプ経験の無い私にとって不安でしたが、まあこれもフェスの醍醐味であると自分を納得させ、後輩の用意したテントを立て始めました。
テントを立て始めてすぐ異変に気が付く。このテント、屋根以外メッシュかつ地面はむき出し(※2)なのである。
(※2)アホイ(仮)がネットオークションで格安テントを手に入れたと思った物は、メッシュータープと呼ばれる物で、テントの前室として使うものであり、温暖で晴れてない限り就寝には適さない。ちなみに苗場スキー場は高原のため、夜は息が白くなるほど寒く、そのまま寝たら凍え死ぬ。あいつマジあほだ。
ちなみにこんなやつ。
我々は準備の全てを、詰めの甘いと定評のあるアホイ(仮)に任せた事を悔やみつつ、テントの側面にゴミ袋を付ければ雨をしのげるのではないかと買い出しをしたのだが、まー所詮タープである。地面は剥き出しのため、小雨から本降りになり始めた頃には、足元には雨が流れ込み浅い小川のような常態で、フェス初心者の3人は途方に暮れていたのであった。
寒さと苛立ちで感覚がマヒしてても、何か良い手は無いであろうかとウロウロしながら悩む3人の視界に入ったのはキャンプよろず相談所だ。我々の失敗談を説明し助けを求めたところ、一人一泊3千円で大型テントに宿泊させてもらえる事となった。実はそこは毎年数名訪れる『宿泊の準備をしない阿呆』のための避難場所であったのだ。
テントに入ると、既に確信犯的にテントを持ってきてない大阪から来た大学生二人組みが、ビールを飲んで談笑していた。
我々は自己紹介をすませると、ビールを飲みながらお互いが期待している出演アーティスト情報を交換し、前夜祭の音楽が聞こえる寝にくい斜面で男5人が思い思いに寝るのであった。
フェス初日、雨が小降りの中の私が見たファーストステージは、今はもう解散したミッシェルガンエレファントである。
実は私はその時良く知らないアーティストなのであったが、寒さで震える体を温めるため、ノリの良い曲にモッシュで盛り上がる前列を目指し突進、昨日のモヤモヤをダイブ(※3)で発散するのであった。
(※3)モッシュとは、激しいライブでテンションの上がった客が行うおしくらまんじゅうのようなもので、中にはこぶしで殴る阿呆もいる。ダイブとはそんなモッシュの中、人の頭の上に飛び乗り踊る行為で、ダイブされた人はナウシカを支えるオームの黄色い触手のように人を手でリレーし、最前列のフェンス前に落とす行為。私は過去2度ほど途中で頭から落ち、血まみれとなりました。危険なので良い子はマネしてはいけない。
モッシュとダイブからくる疲れとの心地よさに酔いしれた私は、基本的にそんな激しいライブばかりを選んで飛び込んだ。
ハワイアン6
ピザオブデスの一押しスリーピースバンド。ハワイアンのシャツをたまたま着てた事と、3人の金玉の数を足してハワイアン6と命名される。
電撃ネットワーク
聞き慣れた電撃ネットワークのテーマに会場のモッシュは雪崩が左右から押し寄せてくるくらい熱い。
熱くなった我らは南部はお約束の下ねたにもノリノリにコールを返す。会場にはネタで使われたサンポールの匂いが広がり、トイレットペーパーが舞い上がる異常空間と化す。
洋楽の良くわからない私でも、予習してた有名どころであるアンダーワールドやコールドプレイをシンミリと聴いたりもした。
そんな、雨で冷えた体を酒とライブで温める事を繰り返して過ごした3日目の最終日は、待望の晴天である。
体はボロボロ、喉はガラガラのため、いちにちゆっくり過ごそうと、ライブを横目にひたすら会場をブラブラした。
しかし最終日である。特に見たいものがなかった私でも、ラストライブは特別な物にしたい。何にするか迷ったあげく、テントで一緒になった大阪から来た二人組みのオススメである「渋さ知らズ オーケストラ」を思い出し、冷やかし気分で聞いてみる事にした。
この「渋さ知らズ オーケストラ」はとにかく圧倒される。
この異様な雰囲気は何と言えば伝わるかと考えたが、こればかりは体験してみないと伝わりようが無い。
十数名で奏でる音楽はジャズのようであり、ロックのようでもあり、歌謡曲のような大衆的要素もある。
ふんどし法被姿の人が「えんやーっとっと」言えば、会場全体が「えんやーっとっと」と返す。
きれいなおねえさんが、シャモジをふって踊ったり、妖艶なダンサーがいたり、全身白塗りの闇黒舞踏のような人は火を噴いたりと、統一感がまるで無いサーカスのようで、五感で楽しめるそんなライブだ。
最終局面では大きな竜現れ、会場は全員で歌い、踊り、コールを共にする。
そんな会場を包み込む、異様だが妙に心地良い一体感を全身で受け止め、フィナーレをむかえるのであった。
※本当はYouTube映像を付けたかったが、裸成分の多い映像はアドセンスさんに怒られそうなので見たい方は「渋さしらズ」で検索してみてください。楽しいものが見れますよ。
散々な始まり方ではあった。
しかしコレを機に私のフェス人生は始まるのである。
このライブの話をアホイ(仮)に伝えると、別なアーティストを見ていた彼は物凄く悔しがっていた。喜ばしい事である。
つづ・・・
かない