ども、お久しぶりです。ホルスタインおじさんです。
去年は仕事関連の勉強であまりブログをかけなかったのですが、一段落したので仕事とは関係のない自己学習をしようと思ってたところに、こんなのを読んでしまいました。
NHK eテレの[100分de名著]ですね。家族揃ってNHK好きなので気になってた番組なのですが、最近は古典文学への興味が薄かったので正直スルーしてました。
しかし、斎藤孝さんの読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)をたまたま読んでて読書熱が再燃。とわいえ、古典にいきなり手をだすのは怖いので、理解しやすそうな[100分de名著]の最新号である呉兢『貞観政要』 2020年1月 (NHK100分de名著)を読んでみる事にしました。
という訳で、記憶の定着のためと、読んでみての感想をここにメモります。
【概要】貞観政要
あらすじ
この本は、ライフネット生命創業者で現在立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんが、中国のリーダー論の古典「貞観政要(じょうがんせいよう)」について、解説したものです。
「貞観政要」は、唐(618〜907)の第二皇帝[太宗・李世民(りせいみん)]とその臣下たちの言行禄です。貞観は当時の元号で長い中国の歴史で4回しかないとされる盛世(繁栄した時代)のひとつだそうで、この本は政治のあり方を要約したものです。
李世民は兄弟を殺して実力で帝位を奪いとるという汚名を返上するため、立派な皇帝と思われるため頑張った人だとされます。そのため、有能な臣下を数多く、そして分け隔てなく登用しました。その中で特徴的なのは自分に敵対した人物も才能を見て重用したのです。
重用された人の中で魏徴(ぎちょう)は、皇帝に諫言をする仕事の諫議大夫という役職についており、この「貞観政要」では多く登場する臣下です。ぶっちゃけ「貞観政要」の話は皇帝である李世民にフォロワーである臣下達がツッコミ(諫言)を入れて正している話を纏めたもののようです。
この本で学べる事
この本で学べる事は、リーダーとしての心構えです。そして筆者の出口さんいわく「部下の立場にある人たちにも」参考になるとうたってます。
という訳で内容の表題を抜粋しました。
【第1回】優れたリーダーの条件
- 名君誕生のいきさつ
- 李世民を支えた臣下たち
- 『貞観政要』の成立
- 君主は寄生階級にすぎない
- 「自分はわかってる」と過信しない
- 明君と暗君の違い
- 耳に痛い話こと聞け
- リーダーとは「機能」である
- 上司は部下の権限を代行できない
- 優れたリーダーは「器」をゼロにする
【第2回】判断の座標軸を持て
- 歴史が書き残される国
- 「良い決断」はいかに可能か
- 人材登用の秘訣
- リーダーに必要な「3つの鏡」
- 十思九特をわきまえる
- 法に例外をつくるなかれ
- 功ある者でも罰すべきは罰す
- リーダーは時間軸を持て
- 部下がだらしないのはリーダーのせい
【第3回】チームの力を鍛える
- 一人で行う判断には限界がある
- リーダーは魚、フォロワーは水
- 『貞観政要』に学ぶ諫言の技術
- 共通テクストを見つけよう
- ダイバーシティの重要性
- 少数だから精鋭になる
- どっしり構えるのも重用な仕事
- 適材適所は難しい
- 信頼されるから結果が出る
【第4回】組織をどう維持させるか
- 六十歳での起業経験
- 「創業」と「守成」はどちらが難しいか
- 船を浮かべるも転覆さえるも水しだい
- 意見が言えない組織は衰亡する
- 後継者選びという困難
- 有終の美を飾れなくなる十の理由
端的にいうと「リーダーは調子にのるな。部下の話を聞け。余計な口出しをするな。部下を信頼しろ。」を繰り返し書かれている印象です。誰もが分かっている事ですがしかし出来ないのが人。出口さんいわく
「リーダーの自制やフォロワーの直言は、その重要性がわかっていても、普通の人間にはなかなか実践できないことだからです。だからこそ、繰り返し、手を変え品を替え、あらゆる比喩や引用を駆使して、その重要性が説かれているのです。」
引用元:貞観政要[NHK100分de名著]
私も読んでいてい少々くどいな〜とは思いましたが、これは繰り返し読んで実行に移さないと身につかない内容であると腹落ちしました。
【感想】「忖度」をぶっ飛ばせ
さて感想です。
この本を読んでみて一番に思ったのが、上司に「読ませたい」の一言です。なんなら経営層全員の枕元に立って夜な夜な読み聞かせたいほどです。
しかしながら、いち社員が声を大にしても社内で浸透している「出世する人は仕事を失敗せず忖度の上手い人」の図式はなかなか変えられないでしょう。
では、自ら「諫言」を実践するか・・・いや危険すぎる。「忖度が当たり前の会社」でいきなりの「諫言」は自殺行為だ。
そこで、再び読み直して見て一番参考になると思ったのが、「【第3回】チームの力を鍛える」の「共通テクストを見つけよう」である。
これは配下(部下)が皇帝(上司)に諫言(上申)するのに、皇帝と配下の「共通テクスト」を前フリに使って納得させるテクニックだそうだ。
「共通テクスト」とは、お互いが知っている過去の事例や他人の話だそうで、ここでは唐の前朝廷である「隋」の失敗談や、孟子・老子・孔子・荀子など思想家の話を持ち出して、相手を納得させていました。
いきなり性善説を説いた孟子の話を持ち出して、もしも上司に通じたら逆に尊敬しちゃうな。
共通テキストを探そう
中国の思想家はハードルが高いので身近な共通テキストを探さねばと思うのですが、一番手っ取り早いのは失敗例です。しかし、ふと思ったが身近な「部下の話を聞かなかった事による失敗談」や、「部下の仕事に口出ししすぎて険悪になった上司と部下の話」などは生々しいので飲み会でしか話せない内容ですね。逆に身近な例はシラフでは出しにくいのが実状・・・・
つまり、こういう事例は故事だからこそ、客観的にそしてロジカルに対話が出来るのかもしれないですね。
という訳で、まずは職場の学習水準を高めるため、今度の会議で管理職に「ダイバーシティ」や「人材育成」そして「風通しの良い風土改革」などの言葉が出たら「貞観政要ってご存知ですか?中国の古典なのですがまさにピッタリな題材で組織の力を強めるいい内容ですよ」と薦めてみたいと思います。さあ、吉と出れば良いが。